やってしまいがち・・・ACドレンパイプ 管径ワンサイズアップって?!
ある現場からの材料注文の明細です。(表はサンプルです・・)
この明細を見てピンと来た方は配管分野のベテランさんだと思います。
この注文書で材料が手配された場合、
①材料商社が気を利かせてCO(掃除口)はVPサイズの40Aを出荷する
②材料商社の不慣れな社員がVPサイズの30AのCOを出荷して、サイズが合わず、クレームとなる
どちらかの結果になってしまいます。。。
ACドレンパイプ、継手は「管径がVPのワンサイズアップになる」と先輩から教わったことは無いでしょうか?
今回は配管現場で本当にトラブルの多いこの「ACドレンパイプ 管径ワンサイズアップ」の問題について取り上げてみます。
◆昔(およそ四半世紀前)は配管工事後に保温工事が必要だった
空調ドレンパイプは冷水が流れるため、VPなど通常のパイプでは表面に結露が生じてしまいます。
昔はこれを防ぐために、ドレン配管工事後に保温工事を行っていました。
積水化学工業のエスロンACドレンパイプ、継手は1996年に保温工事の手間を削減する目的で発売されました。
塩ビのパイプ、継手が発泡断熱層で覆われているため、保温工事無しで結露が防止でき、
発売以降20年以上空調設備工事に関わる方々に利用されてきました。
◆断熱層の厚み=管径ワンサイズアップ
「管径がVPのワンサイズアップになる」というのは、この「発泡断熱層」の厚み(厳密には表面の「スキン層」も含む)が、
1サイズ上のVPと同寸法ということなんです。
◆材料の受発注時に気をつける点は?
掃除口、支持金物(吊りバンドなど)のサイズはワンサイズ大きいものが必要です。
冒頭の注文書の例だと、ACドレンパイプのサイズが30Aなので、CO(掃除口)のサイズはVPサイズの40Aが正解となります。
◆掃除口もワンサイズアップ?
支持金物はなんとなくわかりますが、掃除口がなぜワンサイズアップになるのか?これがややこしくて、材料商社の新人泣かせなポイントです。。。
こちらはエスロンACドレンパイプカタログ(2019.3 改定16版)からの抜粋ですが、
ネジ式掃除口の「ACドレン呼び径」の30の品番は「JNCO40N」となってます。
この型番「JNCO40N」は空調ドレン配管のみならず、通常の排水配管で使用されるネジ式掃除口と同じです。
通常、空調ドレン配管の掃除口は常時接水しないよう取り付けられることが前提となっており、結露対策は必要なく、
通常の保温層のない製品でOKということのようです。
◆わかりにくい! けどとりあえずACドレンの掃除口は気をつけましょう
材料の受発注における間違いがあると、工数的にも納期的にも大きな負担になってしまいます。
本来的にはこうした間違いが起きやすい材料はそれを防ぐ仕組みがあると良いのでしょうが、
今の処「これだ!」という防止策も無いというのが正直なところです。。。
とりあえずはACドレンパイプを使った配管は掃除口や支持金具のサイズに注意しましょう。
今後この記事をきっかけに色々な知恵が出てくると願いつつ。。。